shoya3pei’s diary

26歳 フリーター!好きなものはブラジリアン柔術、マンガ、本、映画、お酒!それから3年経ち、無職で職を探す日々!

2016 3/13 又吉さん

お笑い芸人の又吉さんの本で「第2図書係補佐」という本があります。「はじめに」にこう書かれているのを見て買おうと思いました。

 

僕の役割は本の解説や批評ではありません。僕にそんな能力はありません。心血注いで書かれた作家様や、その作品に対して命を懸け心中覚悟で批評する書評家の皆様にも失礼だと思います。

 だから、僕は­­­­自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。本を読んだから思い出せたこと。本を読んだから思い付いたこと。本を読んだから救われたこと。

 

 

謙虚でいながらユニークだなあと思わせられました。この本は又吉さんが自分の好きな本を紹介しながら、当時の自分の考えや生活を説明しているものです。普通のことを頭良さそうに多くの人に向けて言っている人が僕は嫌いなのですが、その人たちとは真逆のものを感じました。

 

47作品を紹介していますが、その中で強く印象に残ったのは「杳子」、「サッカーという名の神様」、「何もかも憂鬱な夜に」、「世界音痴」でした。どれも又吉さんの話が面白くて印象に残っているのですが、後ろの2つは実際に買って読んでいます。そして大好きな本になりました。それでも第2図書係補佐のなかで一番自分が好きなのは「サッカーという名の神様」です。笑えて、切なくて、そして勇気をくれます。

 

ざっと説明すると、小学生のころにサッカー部に入ったが、最初は下手でサッカーも好きではなくサボっていた。しかし、ある日テレビでマラドーナを見てから練習を頑張りだす。利き足は右足だったのに、マラドーナが左利きだったので自分も左足でボールを蹴るようになる。チームメイトからの苦情もありながらも不屈の精神で続けていたら、数ヶ月後左利きになって左サイドを任せられるようになる。

 そしてある日コーチがみんなを集めて「自分でサッカーをうまいと思うか?」と聞く、自分よりも遥かに上手い仲間たちが「下手です」というなか、又吉さんだけは「下手だとは思いません」と言う。そしたらコーチは「今自分で下手だと言った奴は伸びる」と言う。そして「この人のルールだと一生浮上できない」と思い、自分なりに練習し始める。中学では皆とは別の学校に行き、毎日練習し、サッカーの名門高校に進学する。高校2年の大会で又吉さんは何度も活躍する場面を見せる。小学生の時のチームメイトだったコーチの息子はグラウンドの外で球拾いをしていて、試合の後にコーチの息子は「マッタン凄いな!マッタンは俺等の誇りやわ!」と言う。その試合で又吉さんはコーチの息子を意識していつもより独りよがりなプレーをしていたので自分の性格の悪さを感じてしまう。

という話。 

 

僕はこの話がとても好きでよく思い返しています。まずマラドーナに憧れて左利きにするという努力の方向が変わっていて単純に面白い。効率的とか論理的であるというだけではダメなんだと教えてくれますし。そして小学生の段階でコーチのルールに背きながらも、そのコーチから逃げないで練習し続けるのに勇気をもらえます。そんなこと小学生の自分には絶対にできないだろうと思います。その後はそのサッカー部の中で一番活躍するけど、それだけで何もかもうまくいくわけではないのがまたいい。コーチの息子の純粋な言葉から、自分の行為に罪悪感を覚えてしまうところがとても面倒くさい性格で共感してしまいます。

 

自分は「なんでこんな面倒な性格で生まれてしまったのだろう」と思うときがよくありますが、又吉さんの本を読むと、その性格と面白く付き合っていけるのではないかと思えます。自分の性格やコンプレックスと真摯に向き合ったから言える言葉がこの本のなかにはありました。

 

 

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)